『教育ジャーナル Vol.17』特別座談会 社会に開かれた学び より
物部博文教授(横浜国立大学教育学部)
髙木信俊先生(東大阪市立鴻池東小学校)
中島潤さん(認定NPO 法人ReBit)
※所属、肩書は座談会開催時のものです。
「多様性」の理解・受容は子どもたちのほうが柔軟
――児童、生徒、保護者などとのかかわりの中で感じられる「多様性」について、それぞれの立場から率直にお話を聞かせてください。
物部 私は大学で、保健体育科の専任教員及び小学校教諭を目指す学生に保健を指導しています。2022年4月から本学ダイバーシティ推進本部のバリアフリー推進部門長を務めており、特に障がいがある学生の支援、LGBTQにかかわる啓発、オープンキャンパスなどのイベントを通したダイバーシティ推進活動を行っています。
また、ダイバーシティ概論の授業では、視覚・聴覚障がいのあるパラトライアスリートの中田鈴子さんにご協力いただき、彼女と彼女を支援するスポンサーやスタッフの皆さんからお話を聞く機会を得られました。
もう一つ、私にとって印象深い経験として、中学校に通う肢体不自由の双子の生徒たちとの水泳の支援を通じた交流がまず思い浮かびます。自らも頸椎損傷で車いすに乗って生活をしている高野先生の、双子の生徒に対するインクルーシブ体育への取組です。中学生ですから、今後の進路を考えるわけですが、それまで当然のように「卒業したら特別支援学校へ進むだろう」と思っていたのが、この経験をきっかけに普通科の高校へ進学し、大学にも行きたいという気持ちに変わりました。二人の変容を目の当たりにしてうれしかったと同時に、このような経験がないため、自らの可能性を広げられないケースがたくさんあるのではないかと感じました・・・