『教育ジャーナル Vol.22』より
教育ジャーナリスト 渡辺 研
地域とはあくまで〝戸部のまち〟
校庭からは、横浜市のシンボル的なランドマークタワーが大きく見える。2020年に竣工した横浜市役所新市庁舎が出来上がっていく様子も、毎日、見えていただろう。そんなロケーションだから「地域=横浜市」という発想もできそうだが、戸部小学校(保科優子校長)にとっての地域はあくまで〝戸部のまち〟であり、そこにこだわってきた。
最寄り駅から学校まで、大きな道路沿いを歩いて10分弱。その間、にぎやかな商店街など、いわゆる〝戸部のまち〟らしきものは見当たらない。大都市のまち中なので自然環境に恵まれているわけではなく、港町ヨコハマの風情が感じられるのでもない。こんな書き方をしてはなんだが、必ずしも豊富な学習材にあふれているようには見えない。
それでも戸部小の生活・総合で大事にしてきたのは、子どもたちが生活し、その生活を支える人々が暮らす戸部のまち。
研究発表会の日( 11 月)、総合ではなく、あえて1年生と2年生の生活科の授業を参観した。学校たんけんの次のステップとして、子どもたちがどんなふうに〝戸部のまち〟にかかわりをもち始めるのかに興味があった。まず、総合の入り口を知っていただきたい・・・