『教育ジャーナル Vol.25』より
教育ジャーナリスト 渡辺 研

復興のシンボルとして
コロナ禍直前の2020年1月以来、久しぶりに福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校(郡司完校長)を訪ねた。
学校のプロフィールを確認しておく。
ふたば未来学園の開校の経緯には、こう書かれている(2015年開校時の説明、抜粋)。〈震災と原発事故という、人類が経験したことのないような災害に見舞われ、いまなお、12万人の県民がふるさとを離れた地で、5度目の春を迎えている(平成27年春の時点)。避難している人に限らず、多くの県民が抱える困難は、今なお続いている。〉
10年前の状況だが、今も解決していないことを気に留めておいていただきたい。経緯を続ける。
〈双葉郡をはじめとした福島県の各地域では、震災と原発事故がもたらした被害や放射線への対応などの深刻な問題だけではなく、日本のあらゆる地域が直面している、少子化、高齢化、過疎化の急激な進行、疲弊する産業など地域・コミュニティが直面する課題が、震災と原発事故により、先鋭化している。双葉郡そして福島県はある意味で世界の「課題先進地域」となっている。〉
震災と原発事故から13年が経ち、同じ課題は〝先進地域〞だけでなく、今では全国各地が抱えている。学校、教師の疲弊も深刻になっている。この間、有効な手立てが打たれてきたとは言い難い・・・