『教育ジャーナル Vol.25』より
教育ジャーナリスト 渡辺 研

震災後に生まれた中学生たち
はじめに、この学校の成り立ちに関係することを郡司校長に伺う。
今年度、中学校に入学した60名(2学級)の生徒たちは2011年度世代。3月11日にはまだ生まれていない。なぜ、自分たちは変革者であることを求められるのか、それを理解するには〝3・11〞を素通りするわけにはいかない。中学1年生が建学の精神を〝自分事〞にするには、どんな方法がとられているのか。入学式の翌日、対面式が行われ、そこでは前出の5校の校旗が立てられる。
「本校で校旗を預かっておりまして、校長が震災の話とともに5校の伝統を引き継いでいるのだという話をします。それが恒例になっています」
5校は今も休校中。閉校でも廃校でもない。再開のめどはたっていなくても、おいそれとはなくせない。学校はそういう存在だ。
「翌週はオリエンテーション合宿。1泊2日で演劇ワークショップを行います。プロの劇団の方に指導していただきます。震災に特化したものではありませんが、コミュニケーションを学ぶことが目的です」・・・