〈教育情報誌 学びのチカラ e-na!! vol.1 2021年9月号より〉
東京学芸大学教授 高橋 純(たかはし じゅん)
はじめに
全ての子ども一人一人にしっかりと力をつけたい、これは教師にとって長年の悲願です。先の中央教育審議会答申『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して』にある「個別最適な学び」というメッセージの根幹も、同時に示されている「一人一人の子供を主語にする学校教育の目指すべき姿」に基づくものと理解するとわかりやすいといえます。
先人たちも当然取り組み、我々も何度も挑戦してきた、この古くて新しい問題に、今あらためて挑戦していくことが求められています。「個別最適な学び」の根幹をなす理念は、ある意味で永遠のゴール(目標)を示しているのであって、いきなりこのゴールを直接目ざすのは不可能に近いといえるでしょう。学校や子どもの実態をふまえ・・・